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日米地位協定の抜本的改定を求める会長声明

日米地位協定の抜本的改定を求める会長声明

                         令和元年5月24日
沖縄県司法書士会
会長 上原正一

 沖縄県司法書士会は,国民の権利擁護と公正な社会を実現させる立場として,これまで,「日米地位協定の改定を求める宣言」を発信し,地位協定の抜本的改定を求めてきた。

 政府は,米軍人関係者による事件・事故発生の度に地位協定の運用改善で対応していると述べるが,米軍基地から派生する事件・事故や軍人,軍属等による犯罪等は後を絶たず,平成28(2016年)年4月には恩納村において元米海兵隊の軍属による女性殺害・遺棄,去る4月13日北谷町において米海軍兵が女性を殺害する事件が発生した。

日米地位協定は,米軍人・軍属等が犯す犯罪について,日本国の刑事裁判権を制限していることから,米軍人・軍属等による事件・事故の温床にもなっているといわれている。

一方,平成31(2019年)年2月24日,米軍普天間基地の移設に伴う辺野古沿岸埋め立ての賛否を問う県民投票が行われ,埋め立て「反対」の得票数は有効投票数の72.15%に達し沖縄県民の民意が示された。

日本国内の米軍基地の設置は,日米地位協定に基づく日米合同委員会で米軍に施設の提供を求めることができる権利を認めているからである。しかし多くの民意が「反対」の意思を示した。県民投票の結果は,辺野古埋め立ての賛否を問うものであるが,根底にあるのは沖縄県民の基地がある故の米軍関係者による事件・事故に対する悲痛な叫びを包摂すると理解すべきである。

日米安全保障体制については,我が国及び東アジアにおける平和と安全の維持に寄与してきたものと理解できる反面,学校や住宅地に囲まれた普天間の現状を放置することは許されず,普天間基地の危険性の除去も急務である。

このように日米地位協定は,米軍に特権を与え,沖縄県民の権利を制限するもので,基地と隣り合わせの県民の生活に密接に影響を及ぼしている。

よって,日米両政府に対し,日米地位協定を日本の国内法が適用されない米軍の裁量に委ねる運用の改善ではなく,国内法が適用される地位協定として沖縄県民の人権及び財産権を擁護するため抜本的に改定し,普天間飛行場の全面返還を含めた米軍基地の大幅な整理縮小を図ることを求める声明を発する 。

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