株式会社ライフの解散を受けての緊急会長声明
平成20年1月24日
沖縄県司法書士会
会長 仲 村 弘
平成18年12月13日多重債務問題を根本的に解決すべく、①グレーゾーン廃止②出資法の年29.2%の金利は20%に引き下げる③利息制限法の15~20%を超える貸付は違法行為で行政処分の対象とする、等を柱とする「新貸金業法」が成立した。
この改正以降、全国的にも多くの貸金業者が廃業しているが、県内においても、平成19年11月30日県知事登録では大手の消費者金融である那覇市安謝二丁目2番5号に本店を置く株式会社ライフが廃業、解散した。利用者である消費者からの過払返還請求が広く行われている現状を鑑みれば、今後も廃業する貸金業者が複数出てくるものと考えられる。
平成18年1月13日最高裁判決(第二小法廷、平成16年(受)第1518号)は、「期限の利益喪失特約の下で、債務者が、利息として、利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には、特段の事情のない限り、債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできない」と判示した。これにより、貸金業規制法第43条のいわゆる「みなし弁済」の成立は、特段の事情がない限り否定されたものであるが、同判決以降、利息制限法を超過した利率で貸付を行ってきた貸金業者が廃業し、解散した場合、利息制限法の制限利率で計算した結果、過払いとなる顧客に対して当該貸金業者自身から会社法499条が定める知れたる債権者として格別に債権届け出の催告がなされなければ、利用者である消費者は、会社法上その清算手続において著しく不利益に扱われることになる。
多重債務被害救済に長く取り組んできた当会としては、今般の同社の解散の事実を重く捉え、同社に対し、過払いとなっている消費者の権利を守るため緊急の相談窓口を設置し、適切な対応を取ること、今後起こりうる消費者金融会社の廃業や破綻に対しても迅速かつ適切な対応をとることを宣言するとともに、下記のとおり、同社の解散手続が適切に行われるようことを強く望むものである。
記
- 株式会社ライフ(以下、単に「ライフ」という。)は、解散前10年以内に取引を終了した顧客を含む全顧客の取引を利息制限法制限利率により計算し、過払いが生じている顧客に対しては、債権届出書を送付する等、清算手続に参加する機会を確保すること。
- ライフは、解散前に債権譲渡した顧客に対しても利息制限法制限利率により計算し、過払いが生じている顧客に対しては、債糖届出書を送付する等、清算手続に参加する機会を保障すること。
- ライフは、債権譲渡した債権も含め、顧客又は代理人からの取引履歴開示請求に対し、債権譲渡の有無を含め、速やかに開示すること。
- ライフは、現在、自ら利息制限法所定利率で引き直し計算を行い、過払いとなる顧客に対して会社法499条が定める知れたる債権者として格別に債権届け出の催告を行っていないことに鑑み、過払債権者の権利を守るため、債権の届出期間を相当期間延長すること。
- ライフは、裁判所に対し、少額債権について弁済許可の申立をする等、貴社の顧客の過払債権が早期に支払われるよう適切な措置を講ずること。