日米地位協定の改定を求める宣言
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下地位協定という)は、1960年(昭和35年)の効力発生以来、改定されることなく43年余経過している。
沖縄県において、米国軍隊、軍人、軍属及びその家族に由来する犯罪、事故が多発し、また、米軍基地跡地ではPCBや水銀などの有害物質による汚染が判明、世界的に貴重な沖縄の自然に対する環境破壊、地位協定に基づく提供施設(米軍基地など)に対する米国軍隊の管理権に阻まれ、所有権の正当な行使及び登記ができない土地が生じるなど、県民は生命、身体、財産等に甚大、かつ、深刻な被害を被っている。
特に1995年の米軍人による少女暴行事件において、容疑者の身柄引き渡しなどにおいても地位協定が障害となったことを契機に、県民は、人権を無視するに等しい不平等で不合理な地位協定の抜本的改定をあらためて要求した。
以来、9年余が過ぎたが、日米両政府は、地位協定の運用の改善で十分であるとし、地位協定の抜本的改定には消極的である。
地位協定の運用改善では、国民の生命、財産を守ることができないことは、これまでの米国軍隊、軍人、軍属及びその家族らによる犯罪、事故、環境破壊などの幾多の事例が示している。これまでドイツ、韓国などの諸外国においては幾度か地位協定が改定されているが、我が国においては一度も地位協定の見直し、改定がなされていない。日本政府は、自国民の生命、身体、財産を守る責務を果たすべく、米国と早急に協議をして、地位協定を抜本的に改定すべきである。
沖縄県は、「日米地位協定の抜本的見直しに関する全国行動プラン」を策定し、地方自治体、関係各団体らに連携を呼びかけ、日米両政府に地位協定の抜本的見直しを訴えるなどの具体的行動を展開している。
我が沖縄県司法書士会もこの沖縄県の「行動プラン」を全面的に支持し、関係諸団体に呼びかけ、地位協定の抜本的改定に向けた取り組みを行うことを、ここに宣言する。
平成16年5月22日
第63回定時総会
沖縄県司法書士会